「先生、あたしも気持ちはわかります」


落ち込んでいる臼山先生へそっと声をかけた。


「せめて遺体をどうにかしないと、この教室にいることは辛くなると思います」


そう言うと臼山先生は浩二の遺体へと視線を向けた。


胴体と頭部は先生の上着によって隠されている。


「そう言っても、どこへ運べばいいか……」


「それなら、1階の1年生の教室がいいと思います」


さっき目張りをして回った時に、1階が一番被害が多かった。


そこには5、6体の遺体が転がっている教室がある。


そう説明すると、臼山先生は重たい腰を上げて男子生徒たちへ声をかけた。


「今から平松の遺体を移動しようと思う。誰か、手伝ってくれないか?」


その質問に手をあげる生徒は誰もいなかった。


誰だって遺体に触れるのは嫌だろう。