みんな早くこの状況から逃げ出したいと思っている。


その気持ちはみんな同じだ。


「臼山先生車を出してください! それで隣町まで行ければ俺たちは助かるんですよね!」


突然の申し出に臼山先生も驚いている。


「それはそうだけど、お前だって見ただろう? 乗り物に乗っていても結果は同じだ。嫌、学校内みたいに窓から遠ざかることができない分、余計に危険かもしれない」


先生の言う通りだった。


救急車も消防車もパトカーも、そしてヘリコプターまでもが、この現象に勝てなかったのだから。


「だからってなにもしないままここにいるつもりですか!?」


「動くのはまだ早い。今国で動いてくれているんだから、こっちから動き回るのは利口じゃないだろ」


「もういいです。他の先生に頼みますから!」


男子生徒はそう言い残して教室を出て行ってしまった。