昌良がそう言うので、あたしはもう1度しっかりと民家に突進したパトカーを見つめた。


車のボンネットは民家の壁にぶち当たり、潰れてしまっている。


そこから黒煙が舞い上がっていて、危険な状態だということはわかった。


でも、車から人が出てくる気配はない。


救急車の方も同様だった。


誰1人として出てこない。


乗っていた人全員が意識不明な状態なのかもしれないが……。


パトカーの窓をよく見てみると、そこは真っ赤に染まっているのがわかった。


その赤い水滴は水道のように上から下へと流れおちて行き、徐々に車内の様子を伺うことができるようになってきた。


運転席に座っていたのは、顔が半分なくなった男性だった。