ただ、新人とはとても大切な約束をしていた気がする。


だから、この小指は絶対に離しちゃいけないんだ。


「担架はまだか!? 早くしろ!」


男の声を合図にあたしの体が持ち上げられた。


新人の小指が離れないように必死に力を込める。


しかし、それはいとも簡単にほどけてしまった。


「あら……と……」


「なんだ、意識があったのか。それなら回復の見込みはあるな。この子は我が国で使えるかもしれんない。大切に扱えよ。こっちの男はとっくに死んでるな。ほっとけばいい」


担架に乗せられたとき、男が新人の体を足蹴にするのが見えた。


「新人……っ!」


咄嗟に上半身を起こそうとしたけれど、力が出なくてできなかった。


「新人、新人……!」


あたしの声は誰にも届かない。


新人を置いて、教室の外へと運び出される。


嫌だ……!


あたしは約束したんだ!


新人と、天国で一緒になるって……!