「ここに人がいるぞ!」


どこからか、そんな声が聞こえて来た。


あたしは目を開ける気力もなく、ただ横たわる。


隣で永遠の眠りについた新人の小指を握りしめたまま。


「間違いない。この子だ」


そんな声が頭上から聞こえてきて、あたしはようやく瞼を押し上げた。


スーツ姿の知らない男が立っている。


他にも複数の男女があたしの周りを取り囲んでいた。


「他の生存者はどうしますか?」


「ほっといて構わない。最後に今までで一番大きな風を起こして終わりだ」


「しかし、風は人体にのみ影響を与えるように設定しているので、室内にいる人間に効果はありませんよ?」


「大丈夫だ。設定を変えれば建物ごと破壊できる」


この人たちは一体なんの会話をしているんだろう?


そういえばあたし、どうしてこんな所にいるんだっけ?


意識が朦朧としていて、よくわからなかった。