「何言ってるの敦美。あたしはここにいるってば」


追い掛けようとして立ち上がったら、メマイがしてそのまま座り込んでしまった。


今学校内はのくらいの温度があるのだろう。


「暑い。暑いよ……」


敦美は呟きながら廊下の窓へと近づいて行く。


そこもしっかり目張りされていたのだけれど、暑さのせいでガムテープは半分はがれかけていた。


「ちょっと、敦美! 窓辺は危ないってば!」


どうにか敦美に近づこうと足を前へ進めるけれど、自分でも信じられないくらい歩みは遅かった。


その間に敦美の手は窓へとかかっていた。


「外の風……涼しそうだなぁ」


敦美が窓の外へ視線を向けて呟く。


「敦美! やめて!」


あたしの悲鳴が届く前に、敦美は窓を開けていた。


あたしは目を丸くしてその光景を見ていることしかできなかった。


敦美は開け放った窓の外へと身を乗り出す。


そして次の瞬間、その体は消えていた。


「窓を閉めろ!」