弘成は知枝の方へ視線を向け、黙り込んでしまった。


少しショックだったけれど、誰でも同じ気持ちになるかもしれない。


あたしが頑張れば、もしかしたら救われるかもしれないのだから……。


そう考え、あたしはゆっくりと立ち上がって新人からスマホを受け取った。


「あたしなら、大丈夫だから」


「は? なに言ってんだよ千穂」


「敦美、撮影手伝てくれる?」


「撮影って千穂……まさか、ユーキのことを信じるつもり?」


そう聞かれて、あたしは左右に首を振った。


ユーキを信じているから撮影するんじゃない。


みんなの気持ちがバラバラになってしまわないように、撮影するんだ。


ここであたしが撮影を拒めば、弘成は激怒するだろう。


そうなればあたしたちの関係に亀裂が入ってしまう。


それを懸念してのことだった。