嵐を呼ぶ噂の学園② 真夏に大事件大量発生中!編

「うわあ!すごい!僕、海に来たこと無かったかんだ」



「わたしも初めてです。こんなに青くてこんなにおっきいんですね!」



青くて、で思い出した。


さっき青柳くんに会ったんだ。


隣にいた人、とってもキレイだし、何だか大人っぽかった。


わたしとは大違い。


月とすっぽんだ。
(もちろんわたしがすっぽんです)


「ことちゃん、水触ってみよう!」


「そうですね。びしょ濡れにならない程度に触りましょう」



かいとくんは海目掛けて駆けて行った。


わたしにもこんな無邪気な時代があったのかな?


一瞬昔の自分の姿が脳裏によぎった。


あんまり小さい頃の話をするのは好きではない。


良い思い出がないから。


沈んでしまった心を癒すために海風に吹かれ、海を静かに見ていると



「助けて!」



と、突然わたしを呼ぶ声が聞こえた。