「今週末...空いてる?」



オレの一言に、汐泉は一瞬キョトンとした表情になったが、すぐにいつもの微笑みを浮かべた。



「うん。何にも予定無いよ」




そっか。



無いよ、な。



自分から切り出しておいてナンだが、ここから先の言葉を言おうか言うまいか迷ってしまう。






暫くの沈黙。






不甲斐ない。



青柳波琉。


お前、男だろ?


根性見せろよ!





って、どこかの誰かさんに言われている気がする。



幻聴が襲ってきたが、そのせいにしてはならない。



オレは...



覚悟を決めるんだ。



言うんだ、思ってることを。



伝えるんだ、自分の気持ちを。





「あのさ...」





汐泉がこっちを見る。



海の青より澄んでいる、



その大きな瞳に吸い込まれそうになる。



まるで津波に襲われるかのようだ。






オレは...




汐泉をまっすぐ見た。




「水族館に行こう」