朱比香ちゃんと金魚すくいをして百合野ちゃんと波琉くんのところに向かっていた時、朱比香ちゃんが言った。



「昨日の波琉のバースデーパーティー企画した星名さん。あの娘は気をつけた方がいいよ」


「なんで?」


「あの娘、人との距離感おかしいし、なんか波琉に馴れ馴れしいし。正直、見てるとムカつくんだよね」



同感だった。


昨日だって水族館に行った日だって私より長く波琉と一緒にいたのは彼女だ。


なぜか毎回面倒事に波琉くんを巻き込んでは、波琉くんを離さない。


まるで薔薇のツルのよう。


絡み付いてそのトゲで体内に毒を入れて徐々に蝕んでいく。

確かに彼女に対して波琉くんは特別な感情を持っていないかもしれない。


けれど、優しい波琉くんは、ああいう天然そうで裏は悪女みたいなやつに捕まりかねない。


私がちゃんと波琉くんを捕まえておかないと、取られてしまう。


恋のリードは私が引くんだ。