来るはずじゃなかった。
嫌いだとまでいったヤツの家になんか。
昨日来たばかりなのにまた来てしまうなんて、バカか、オレは。
わざわざ確認するまでもないと言われればその通りかもしれないが、
いや、その通りなんかじゃない。
オレにとっては大事なことだ。
...ファーストキスの相手が誰なのか。
汐泉にした時、脳裏に記憶が微かに甦ったのだ。
オレはこの感覚を知っている、覚えている、そう脳は判断した。
だから来たのだ、ここに。
オレの罪を隠しているアイツに尋問するために。
どうやらまだ店に客が残っているらしく、若い金髪2人組だった。
皿を見るともう何もない。
なぜ、帰らない?
オレはしばらく奴らの様子を偵察していた。
「俺、朝定の食材買い出しにちょっと行ってくっから、その間に会計済ませとけよ!」
店主の声はバカでかく外までばっちり聞こえた。
店主が去り、星名が1人になると、奴らは席を立った。
レジの前に立ち、奴らが彼女になんか言っているようだ。
会計にしては異様に長い。
おかしいなと思ったその時、金髪の体格のいい方が星名の腕を掴んだ。
「止めて下さい!」
ヤバい事態に巻き込まれかねないと思った。
しかし、なんでまたアイツは事件を呼んで来てしまうんだ。
あの推理少年並みの巻き込まれ体質だぞ。
なんて、呑気なこといっている場合じゃない。
どうにかして奴らを星名から引き離さないと...。
そっか、警察か。
警察に連絡しよう。
ジーパンのポケットからスマホを取り出し、110を押す。
お願いだ、
早く繋がってくれ!
「もしもし、こちら警察です。どうされましたか?」
「あの、えっと...その、ほ、星名食堂で...人が...」
「おい!何してんだ、てめえ!」
気づいた時には遅かった。
オレのスマホは地面に叩き付けられた。
「星名食堂です!早く来てください!」
「何いってんだ、コイツ?繋がってねえっつうの」
「この子を助けに来たのか?はっは、残念だったな!お前はここで始末してやる!」
金髪マッチョがオレに殴りかかる。
...こんなとこで、
こんなヤツに、
殺されてたまるか!
オレは即座に反応し、ヤツの胴体と股の間をすり抜けた。
多少背中をかすったが、大した傷ではない。
貧乏で貧相な食事をして痩せ細ったお陰だ。
「逃がすか!おい、原田!やっちまえ!」
原田と呼ばれたガリガリの方が星名の腕を掴み、そのまま床になぎ倒した。
「星名!椅子だ!椅子で守れ!」
マッチョに捕まる前にオレは暖簾を外し、ヤツの腹筋目掛けて突いた。
「な...なんて、やつ」
鍛えていたためか腹筋が筋肉痛を起こしていたらしく、もはや立ち上がることすら出来ないらしい。
後はこのガリガリか。
「少年、俺をなめてると痛い目に遭うぜ!覚悟しとけよ!とりゃあ!」
ヤツがオレの顔面目掛けてパンチを繰り出したが、
「お黙り!ガリガリ!」
星名が食堂の椅子をヤツの脚に投げつけ、ヤツは派手に転んだ。
と、同時にパトカーのサイレンの音が聞こえてくる。
「くっそ、覚えてろよ!」
奴らは闇夜に駆け出した。
まあ、数分もしないうちに手錠をかけられるだろうけど。
オレは立ち上がり、星名に手を差し出す。
「よくそんな体勢で椅子投げられたな。...ほら、立てよ」
「いいです。優しくして下さらなくても」
星名は自力で立ってガチャガチャになったテーブルと椅子をもとに戻し始めた。
「星名。あのさ」
「夜分遅くにすみません。警察です。お話を伺いたいのですがよろしいですか」
嫌いだとまでいったヤツの家になんか。
昨日来たばかりなのにまた来てしまうなんて、バカか、オレは。
わざわざ確認するまでもないと言われればその通りかもしれないが、
いや、その通りなんかじゃない。
オレにとっては大事なことだ。
...ファーストキスの相手が誰なのか。
汐泉にした時、脳裏に記憶が微かに甦ったのだ。
オレはこの感覚を知っている、覚えている、そう脳は判断した。
だから来たのだ、ここに。
オレの罪を隠しているアイツに尋問するために。
どうやらまだ店に客が残っているらしく、若い金髪2人組だった。
皿を見るともう何もない。
なぜ、帰らない?
オレはしばらく奴らの様子を偵察していた。
「俺、朝定の食材買い出しにちょっと行ってくっから、その間に会計済ませとけよ!」
店主の声はバカでかく外までばっちり聞こえた。
店主が去り、星名が1人になると、奴らは席を立った。
レジの前に立ち、奴らが彼女になんか言っているようだ。
会計にしては異様に長い。
おかしいなと思ったその時、金髪の体格のいい方が星名の腕を掴んだ。
「止めて下さい!」
ヤバい事態に巻き込まれかねないと思った。
しかし、なんでまたアイツは事件を呼んで来てしまうんだ。
あの推理少年並みの巻き込まれ体質だぞ。
なんて、呑気なこといっている場合じゃない。
どうにかして奴らを星名から引き離さないと...。
そっか、警察か。
警察に連絡しよう。
ジーパンのポケットからスマホを取り出し、110を押す。
お願いだ、
早く繋がってくれ!
「もしもし、こちら警察です。どうされましたか?」
「あの、えっと...その、ほ、星名食堂で...人が...」
「おい!何してんだ、てめえ!」
気づいた時には遅かった。
オレのスマホは地面に叩き付けられた。
「星名食堂です!早く来てください!」
「何いってんだ、コイツ?繋がってねえっつうの」
「この子を助けに来たのか?はっは、残念だったな!お前はここで始末してやる!」
金髪マッチョがオレに殴りかかる。
...こんなとこで、
こんなヤツに、
殺されてたまるか!
オレは即座に反応し、ヤツの胴体と股の間をすり抜けた。
多少背中をかすったが、大した傷ではない。
貧乏で貧相な食事をして痩せ細ったお陰だ。
「逃がすか!おい、原田!やっちまえ!」
原田と呼ばれたガリガリの方が星名の腕を掴み、そのまま床になぎ倒した。
「星名!椅子だ!椅子で守れ!」
マッチョに捕まる前にオレは暖簾を外し、ヤツの腹筋目掛けて突いた。
「な...なんて、やつ」
鍛えていたためか腹筋が筋肉痛を起こしていたらしく、もはや立ち上がることすら出来ないらしい。
後はこのガリガリか。
「少年、俺をなめてると痛い目に遭うぜ!覚悟しとけよ!とりゃあ!」
ヤツがオレの顔面目掛けてパンチを繰り出したが、
「お黙り!ガリガリ!」
星名が食堂の椅子をヤツの脚に投げつけ、ヤツは派手に転んだ。
と、同時にパトカーのサイレンの音が聞こえてくる。
「くっそ、覚えてろよ!」
奴らは闇夜に駆け出した。
まあ、数分もしないうちに手錠をかけられるだろうけど。
オレは立ち上がり、星名に手を差し出す。
「よくそんな体勢で椅子投げられたな。...ほら、立てよ」
「いいです。優しくして下さらなくても」
星名は自力で立ってガチャガチャになったテーブルと椅子をもとに戻し始めた。
「星名。あのさ」
「夜分遅くにすみません。警察です。お話を伺いたいのですがよろしいですか」



