「ここがベストポジションなんだ」
「へえ、こんなところに幼稚園があったとは。地元なのに知らなかったなあ」
汐泉は懐かしそうに遊具を眺め、ブランコに腰かけた。
オレももう一台のブランコに乗り、幼少期に戻ったかのように全力で漕いだ。
どんどん高さは増して、目の前の月に飛んでいけそうだと思った。
と、その時。
ヒュー、ドドン!
ドドン、ドドン!
「わあっ!花火だ!すっごく、きれい!」
「汐泉に喜んでもらえて嬉しい」
そう。
この花火のように、
いや、それ以上に華やかで美しく輝く汐泉がここにいてくれる、それだけで十分だ。
オレには汐泉さえいれば、何もいらない。
ドン!
ドドン、ドドン!
次々にうち上がる花火。
下駄を履いている汐泉は、なかなか上に上がって来られない。
なら、オレが、
オレが汐泉を
夜空に打ち上げよう。
オレは漕ぐのを止め、汐泉の後方についた。
「波琉くん、どうしたの?」
「オレが後ろから押すから、汐泉は下駄を脱いで必死に漕いで!そしたらもっといい景色が見えるから!」
「わかった!やってみる!」
汐泉は順調に高く上がった。
花火の一部になった時、その輝きは何割も増した。
しだれ桜のような大型の花火が何発もうち上がり、地元の商工会主催の花火大会は、あっという間に幕を閉じた。
汐泉がブランコを漕ぐのを止めて静かに下がってくる。
オレは汐泉の下駄を持ってスタンバイした。
きっと、朱比香に見られていたら
「何かっこつけて、こっぱずかしいことしてんのよ!」
とかなんとか言われていただろう。
でもいい。
それでもいいから。
オレは、汐泉に伝えるんだ。
「波琉くん?」
「汐泉、オレの目を見てちゃんと聞いて」
汐泉の切れ長の美しい瞳にオレが写る。
自分でいっておきながら、見つめられると恥ずかしくなる。
しかし、こんなので照れている場合じゃない。
オレは跪き、汐泉の足に下駄を履かせた。
「オレ、汐泉が大好き。だから、オレだけのシンデレラになってください」
「も、もちろん!ずっとずっとずっと、波琉くんの隣にいるから。いつまでも波琉くんのシンデレラだから」
花火の余韻と夏の暑さがまだまだ残る午後8時。
オレは汐泉の首筋に手をやり、彼女の唇にそっと唇を重ねた。
「へえ、こんなところに幼稚園があったとは。地元なのに知らなかったなあ」
汐泉は懐かしそうに遊具を眺め、ブランコに腰かけた。
オレももう一台のブランコに乗り、幼少期に戻ったかのように全力で漕いだ。
どんどん高さは増して、目の前の月に飛んでいけそうだと思った。
と、その時。
ヒュー、ドドン!
ドドン、ドドン!
「わあっ!花火だ!すっごく、きれい!」
「汐泉に喜んでもらえて嬉しい」
そう。
この花火のように、
いや、それ以上に華やかで美しく輝く汐泉がここにいてくれる、それだけで十分だ。
オレには汐泉さえいれば、何もいらない。
ドン!
ドドン、ドドン!
次々にうち上がる花火。
下駄を履いている汐泉は、なかなか上に上がって来られない。
なら、オレが、
オレが汐泉を
夜空に打ち上げよう。
オレは漕ぐのを止め、汐泉の後方についた。
「波琉くん、どうしたの?」
「オレが後ろから押すから、汐泉は下駄を脱いで必死に漕いで!そしたらもっといい景色が見えるから!」
「わかった!やってみる!」
汐泉は順調に高く上がった。
花火の一部になった時、その輝きは何割も増した。
しだれ桜のような大型の花火が何発もうち上がり、地元の商工会主催の花火大会は、あっという間に幕を閉じた。
汐泉がブランコを漕ぐのを止めて静かに下がってくる。
オレは汐泉の下駄を持ってスタンバイした。
きっと、朱比香に見られていたら
「何かっこつけて、こっぱずかしいことしてんのよ!」
とかなんとか言われていただろう。
でもいい。
それでもいいから。
オレは、汐泉に伝えるんだ。
「波琉くん?」
「汐泉、オレの目を見てちゃんと聞いて」
汐泉の切れ長の美しい瞳にオレが写る。
自分でいっておきながら、見つめられると恥ずかしくなる。
しかし、こんなので照れている場合じゃない。
オレは跪き、汐泉の足に下駄を履かせた。
「オレ、汐泉が大好き。だから、オレだけのシンデレラになってください」
「も、もちろん!ずっとずっとずっと、波琉くんの隣にいるから。いつまでも波琉くんのシンデレラだから」
花火の余韻と夏の暑さがまだまだ残る午後8時。
オレは汐泉の首筋に手をやり、彼女の唇にそっと唇を重ねた。



