嵐を呼ぶ噂の学園② 真夏に大事件大量発生中!編

一瞬の出来事だった。


わたしは自分の唇に手を当てた。


残る感覚と手のしびれ。


力を抜いたら膝から崩れ落ちてしまいそうな、


甘い、甘い、キス。


園田さんは口をあんぐりと開け、わたしと赤星くんを交互に見つめていた。



「あんた...ことちゃんに...何を」


「ただの愛情表現。俺、本当に好きな子にしか唇にチューしないから。ことちゃんは俺の最後の女の子だよ。んじゃあ、殴られそうだからここで俺はお暇するね。バイバイ」



さらっとしてさらっと帰っていく。


赤星くん、一体、何者?



「あっ、そうだ。ことちゃんにもうひとつ」


赤星くんが耳元で囁いた。


「今のは上書き、だから。なんか、先にやられちゃったみたいだけど、今度はもっと、ね。初を忘れさせるくらいの」


全身がかあーっと熱くなる。


本当に倒れてしまいそう。



「さっさと帰れ!変態レッドスター!ああ、ほんと、気持ち悪い」



園田さんの大声が耳をつんざいた。



「ことちゃん、今のは忘れるんだよ!あんなやつ、ただの女たらしだから!」



そう言われても、忘れられそうにない。


あんな濃厚な、濃厚な...。