「ちょっと待って下さい」
わたしは居住スペースである2階に設置されている冷蔵庫からペットボトルの水を出してきた。
「これ、飲んで下さい。残ったら持ち帰って頂いてけっこうですので」
「なんでこれ?」
「グラスに注ぐと怪しまれるので、これなら未解栓ですし、安全かと思いまして」
「だからって2リットルはねえだろ」
「うちにはこれしかないので」
言いながらなんか悲しくなってきた。
喜ばせるはずが最初から失敗してしまうし、色々誤解させてしまうし、カノジョさんでもないのにあれしてしまうし...。
わたしって本当にダメなやつだ。
やっぱり、選ばれなかった方でしかないんだ。
みんな分かってたんだ。
わたしがあの人のDNAを1ミリも受け継がない失敗作だって。
だからあの日、あの時、わたしは...。
「あのさ」
「はい...なんでしょう」
「なんか、ごめん」
珍しく青柳くんが謝ってきた。
さっきとは打って変わって悲しげな表情。
青柳くんが謝ること、何一つ無いのに。
「アルコール飲まされたことは許さない。けど、理由もなく、星名さんがこんなことするわけないなぁと思って。オレ、なんかした?」
「いいえ、何も」
「でも、抱き枕にしたのは謝る。マジでごめん」
なんか、
やっぱり、
やっぱり、
やっぱり青柳くんは...優しい。
ちゃんと他人を思いやって頭を下げられる人なんだ。
そんな青柳くんを友達に持てたわたしは、最高の幸せ者だ。
園田さんも赤星くんもわたしを心配してくれる。
わたし、人生の中で1番、今がいっちばん、幸せだ。
...涙が流れてきた。
頬を伝い、床に染みていく。
いつからこんなに泣けるようになったのだろう。
わたしを思ってくれる人達がいるから泣けるんだ。
ああ、拭っても拭っても、止まらない。
「ごめんなさい。お見苦しい姿を...」
...えっ。
「あのぉ、青柳くん?」
「オレの人生を背負わせたから、オレもお前を受け止めなければならない。友達になったんだから、もう、1人で...1人で抱え込むな」
青柳くんはわたしを優しく抱き締めてくれた。
――ことちゃんが友達としての愛を示したら、波琉も愛を返してくれる。
園田さんに言われた言葉を思い出した。
わたしは今、愛を返してもらえているのかな。
それなら、
それなら...
嬉しい。
今までどれだけ愛を与えても、返してもらえなかったから。
愛が返ってくることが、とてつもなく嬉しい。
「星名...ありがとう」
「あの...今、何と?」
「オレは一度言ったことは二度言わないって前にも言ったはずだ。だから、言わない」
「まあ、いいです。それより...」
言おう、今。
「お誕生日おめでとうございます」
わたしは居住スペースである2階に設置されている冷蔵庫からペットボトルの水を出してきた。
「これ、飲んで下さい。残ったら持ち帰って頂いてけっこうですので」
「なんでこれ?」
「グラスに注ぐと怪しまれるので、これなら未解栓ですし、安全かと思いまして」
「だからって2リットルはねえだろ」
「うちにはこれしかないので」
言いながらなんか悲しくなってきた。
喜ばせるはずが最初から失敗してしまうし、色々誤解させてしまうし、カノジョさんでもないのにあれしてしまうし...。
わたしって本当にダメなやつだ。
やっぱり、選ばれなかった方でしかないんだ。
みんな分かってたんだ。
わたしがあの人のDNAを1ミリも受け継がない失敗作だって。
だからあの日、あの時、わたしは...。
「あのさ」
「はい...なんでしょう」
「なんか、ごめん」
珍しく青柳くんが謝ってきた。
さっきとは打って変わって悲しげな表情。
青柳くんが謝ること、何一つ無いのに。
「アルコール飲まされたことは許さない。けど、理由もなく、星名さんがこんなことするわけないなぁと思って。オレ、なんかした?」
「いいえ、何も」
「でも、抱き枕にしたのは謝る。マジでごめん」
なんか、
やっぱり、
やっぱり、
やっぱり青柳くんは...優しい。
ちゃんと他人を思いやって頭を下げられる人なんだ。
そんな青柳くんを友達に持てたわたしは、最高の幸せ者だ。
園田さんも赤星くんもわたしを心配してくれる。
わたし、人生の中で1番、今がいっちばん、幸せだ。
...涙が流れてきた。
頬を伝い、床に染みていく。
いつからこんなに泣けるようになったのだろう。
わたしを思ってくれる人達がいるから泣けるんだ。
ああ、拭っても拭っても、止まらない。
「ごめんなさい。お見苦しい姿を...」
...えっ。
「あのぉ、青柳くん?」
「オレの人生を背負わせたから、オレもお前を受け止めなければならない。友達になったんだから、もう、1人で...1人で抱え込むな」
青柳くんはわたしを優しく抱き締めてくれた。
――ことちゃんが友達としての愛を示したら、波琉も愛を返してくれる。
園田さんに言われた言葉を思い出した。
わたしは今、愛を返してもらえているのかな。
それなら、
それなら...
嬉しい。
今までどれだけ愛を与えても、返してもらえなかったから。
愛が返ってくることが、とてつもなく嬉しい。
「星名...ありがとう」
「あの...今、何と?」
「オレは一度言ったことは二度言わないって前にも言ったはずだ。だから、言わない」
「まあ、いいです。それより...」
言おう、今。
「お誕生日おめでとうございます」



