高校にはなんとか行きたかった。


大学に行って医者か社長にでもなって大金を手に入れ、悠々自適な生活を送りたいなんて叶いもしないような夢を掲げてなるべく金のかからない公立の高校を受験しようと思っていた。


心境が変わったのは担任の一言。


「授業料が全部免除してくれる私立高校がある。キミの成績ならいけると思う。チャレンジしてみないか」


オレはそれにかけてみようと思った。


受験し、見事A判定で合格。


諸経費のみの支出で済んだ。


...のは良かったのだが、幼なじみの園田百合野、畠山朱比香が同じ高校に進学すると決まった。


オレのことを知っているやつらと一緒だといろいろ面倒だから止めてほしいと思ったが、決まったことなら仕方がないと覚悟を決めた。


そして光蘭に通うにあたって住む場所が必要だった。


不動産屋が持っている物件の中で一番安い所を紹介してもらい、ここを選んだ。


校則にバイト禁止とは書かれていなかったからバイトも始めた。


定期バイトと期間限定のバイトの二種類を掛け持ちして生活費を稼ぎ、叔父さんからの仕送りの3万はほぼ貯金している。


使ったら返さなければならない金だから。


高校生になってから、オレはさらに熱心に勉強してきた。


大学は国立に行きたいし、たとえ私立になったとしても授業料を少しでも免除してもらえないとやっていけない。


全ては自分の将来のため。


そして、


亡くなった父母にちゃんと生きてるって証明するためでもある。