嵐を呼ぶ噂の学園② 真夏に大事件大量発生中!編

小学校の卒業式を間近に控えた春の日。


事件は起きた。


卒業のお祝いにとオレは母と祖父母と共に卒業旅行に出掛けた。


熱海の温泉に浸かり、美味しい料理を食べ、部屋でのんびりしたりするつもりだったのだが、旅館に着き、最上階に通された直後に爆発音が聞こえた。


「調理場で火事が発生しました、直ちに避難してください」


というアナウンスが館内に流れた。


貴重品だけ持って出るのよ!と母に言われ、急いで部屋を飛び出すとエレベーターに長蛇の列が出来ていた。


奇しくも非常階段は出火場所の真横を通らないと行けず、使えなかった。



「子供と老人を先に!」


警察官だという宿泊客の一人であった若い男性の指示に従い、弱者達からエレベーターに乗せられた。


オレは嫌な予感がしていた。


ここで母と離れたら一生母に会えない気がした。



母と離れたくない。


もう誰も失いたくない。


オレが父の代わりに母を守るんだ。



オレは自分の順番が来ても乗らなかった。



「君、早く乗って!」


「嫌だ!絶対に乗らない!母さんと乗る」


「波琉、私はいいから先に行きなさい!」


「そんな...」


「いいから行きなさい!」


オレは無理やりエレベーターに押し込まれた。


「ボクはいいから母さんを!」


その叫びは届かず、オレはむさ苦しいエレベーターに乗って下ろされた。