※青柳波琉の過去
オレはごくごく平凡な家庭に産まれた。
高校教師の父とガーデニングが趣味の専業主婦の母に十分な愛情を受けて育った。
...のは10歳まで。
もともと心臓に持病があった父はオレが10歳の誕生日を迎えた翌日に亡くなった。
お盆休みには父の実家に帰省する予定で、オレが自分の背丈の半分ほどもあるスーツケースにあれやこれやと荷物を詰め込んでいた時に電話がかかってきた。
受話器を取った母の顔が次第に歪んでいくのをオレはただただ呆然と見つめていた。
母から父の死が知らされたが、オレは父が死んだとは到底思えず、父に会いたいと駄々をこねた。
見かねた母がオレも連れて病院に行くと、そこにはうっすらと笑みを称えながら冷たくなっている父がいた。
母は耐えきれなくなって嗚咽し、遺体安置室を飛び出し、看護士に背中を擦られながら号泣していた。
オレは父を見つめた。
父と会える最後のチャンスだと思ったから。
側にいた看護士が言った。
「あなたのお父さん、最後は相当苦しんでらしたと、通報して下さった方がおっしゃっていました。でも...見てください。お父様は笑っています。きっとあなた方に笑ってお別れをしたかったのでしょうね」
「はい...そう思いたいです」
「そう思うなら、あなたもこれからずっと笑って生きて下さい。お父様が安心して天国で暮らせるように」
オレはごくごく平凡な家庭に産まれた。
高校教師の父とガーデニングが趣味の専業主婦の母に十分な愛情を受けて育った。
...のは10歳まで。
もともと心臓に持病があった父はオレが10歳の誕生日を迎えた翌日に亡くなった。
お盆休みには父の実家に帰省する予定で、オレが自分の背丈の半分ほどもあるスーツケースにあれやこれやと荷物を詰め込んでいた時に電話がかかってきた。
受話器を取った母の顔が次第に歪んでいくのをオレはただただ呆然と見つめていた。
母から父の死が知らされたが、オレは父が死んだとは到底思えず、父に会いたいと駄々をこねた。
見かねた母がオレも連れて病院に行くと、そこにはうっすらと笑みを称えながら冷たくなっている父がいた。
母は耐えきれなくなって嗚咽し、遺体安置室を飛び出し、看護士に背中を擦られながら号泣していた。
オレは父を見つめた。
父と会える最後のチャンスだと思ったから。
側にいた看護士が言った。
「あなたのお父さん、最後は相当苦しんでらしたと、通報して下さった方がおっしゃっていました。でも...見てください。お父様は笑っています。きっとあなた方に笑ってお別れをしたかったのでしょうね」
「はい...そう思いたいです」
「そう思うなら、あなたもこれからずっと笑って生きて下さい。お父様が安心して天国で暮らせるように」



