嵐を呼ぶ噂の学園② 真夏に大事件大量発生中!編

病人を放置して帰れるような人間じゃない。


前にもこんな気持ちになった。


コイツといると人間の善の部分を思い出すことができるらしい。


ハプニングを呼んでくる疫病神みたいな存在である一方で、なんか嫌いになれない存在であることは確かだった。


おんぶしろとせがまれる前にオレは自ら満身創痍の彼女を背負った。


まだカノジョを背中に乗せたことがないのにコイツのことはもう2度も乗せている。


普通は遠慮するが、コイツの辞書に遠慮の文字は一切ない。


土足で踏み込んでぐちゃぐちゃに荒らしていく。


でも一部だけは降り積もっていた埃を払い落としてくれるように感じる。


...不思議、だ。


そんなことを思いながらオレは今度こそ本気で走った。


こんな夜中に女を背負って疾走する。


もう2度と訪れてほしくないシチュエーションだ。