アイネクライネ

「っ...!はぁ...っ、はぁ...っ!」

胸がいたんでも息が詰まって吸えなくても
救急コールのボタンを押さない。

きっと、これでいいんだ。あたしの臓器があなたの大切な人に渡される。

その中であたしは生き続けるのだから。
そばで、幸せを見届けられるのだから。

苦しくて、涙がこぼれた。手を伸ばすと
誰かが手を取った。

あなた。

最後の最後まであなたはあたしに喜びをくれる。

消えない悲しみはいつか消えて。綻びはきっと直る。あなたといれば。

あなたといられることは、目の前のすべてがぼやけて溶けていくほどに幸せでした。

最後に、あたしの名前を初めて呼んでくれた
あなたの名前を呼んでもいいかな...

「...×××。」