やっと終わると時間は5時。
今日はこれで上がれる。
「玲。」と背後から私を呼ぶ声がした。
振り返るとそこには同期の耕が居た。
耕は、お姉さんが悪性リンパ腫で亡くなったらしく、医者になったそうだ。
「耕。何?」私は言った。
「これで上がんの?」と耕が言う。
「そうだけど?」
「いいな」耕が言う。
「なんで?」私は聞いた。
「だって、夜勤だもん。」と耕は言って、
「じゃ〜」と廊下の奥に消えた。

私はそれから病院を出て、帰り道を歩く。