水性のピリオド.



はるからのメッセージの下には不自然に開きすぎたスペースがあって、わたしはそこに凝りもせずに水性ペンで返事を書いた。

決して届きはしない言葉たちだ。

いつかまたこのアルバムを開いたときに、苦しくなるのはわたしだってわかっているけど。


「中津 春乃さんへ」


春の七草なんて、教えなきゃ良かったな。

そしたらはるの名前もすぐに忘れられたかもしれないのに。






はる への『好き』は水性ペンで伝えたくせに

『さよなら』は油性ペンで残したわたしを


許さなくていいよ。

だけど、忘れてね。






わたし、本当はね。

油性ペンで書いた さよなら が

水性ペンで書いた 好き と打ち消しあってでもいいから

薄れて、消えてくれますように、と願っていました。





【水性のピリオド.】