時計の針を左に回したら。

この日はレギュラーの試合を決める大切な紅白戦で、 

レギュラーを奪い返そうと、二年生や三年生がかけるを徹底的にマークしていた。

特に体がごっつくてゴリラみたいな先輩が、かけるを何度も倒した。  

その度にかけるはグランドに転がった。

それはどう見てもファールだったのに、他の上級生はにやにやしてるだけ。

「あのゴリラ、ひどい。」

「最低」

そんな声もゴリラ先輩には聞こえなかったみたい。

むしろもっと燃えたかも。

だって絶対に女子にはもてそうになかったし。

紅白戦はどんどん進んだけど、かけるはゴリラ先輩に倒されたケガで、

なかなかゴールを決められなかった。

このまま試合が終わったらかけるはレギュラー外されるのかな。

そう思ったら居ても立ってもいられなかった。 

今まで私は恥ずかしくて、大きな声でかけるを応援出来てなかった。

でもこの時は違った。

私は思わず叫んだんだ。

「お願い、ゴールを決めてって」