くだらない毎日だった。何も感じない朝が来て面白くもない学校に行って、上達もしない部活を続けて、1人つまらない夜を過ごす、そんな一日を永遠と送っていた。私の周りには多くの「知り合い」がいたけれど「友達」と呼べる人は数える程もいなかった。だから余計楽しくもなかった。
中学最後の冬、ストレス発散の場所だったバレーボールも引退して、舞(まい)には受験という壁がすぐ側まで来ていた。毎日毎日「ここが頑張り時だ」「早く勉強しろ」と大人達は口を揃えて言うものだから嫌気がさして余計勉強に手がつかなかった。
どうせあなた達の人生に関係ないことじゃない。最終的にやるのは私なんだから余計なこと言わないで
頭の中でそう答えるも、一切表情には出さず私は1人で家に帰った。


「ただいま」
誰もいない家に私の声が響く。少しの間その場に立ち尽くし、弟の習い事の送り迎えで留守のことに気が付き重たい足を動かす。リュックを机に投げ捨て制服のままベットに寝転がる。真っ白の天井だけが視界を埋め尽くす。 そのまま何も考えず無心でゴロゴロと左右に頃がり続ける。そして本当に誰もいないことを確認して、隠してあったスマホを取り出し大好きな音楽を聴く。目を閉じて音楽だけに集中する。
ただそれだけが私の唯一の癒しであった。
嫌な事も辛いことも全部忘れられた。
少し時間が経って改めてスマホを開き、好きな音楽グループのサイトを調べる。すると、とある配信アプリで重大告知があるという記事を見つけ、慌ててそのアプリを入れた。
そんな「ただの好奇心」で入れただけだった。それがこんな大きなことになるとはその時の私は思いもしなかった。


細かい作業をするのはめんどくさかったけど時間をかけずにアプリを使えるように出来た。まだ重大告知には時間があったので当てもなく画面をスクロールしていく。
その中で一つだけ目に入るものがあった。理由は単純で、ただ単に好みの絵柄だっただけ。特に深い意味などなかった。私は無意識にその絵柄を押した。
これが私とあいつとの出会いだった。