表参道のカフェ「cafe LOVE STREET」で、休憩していたときだった。

平日の朝は人が少ないから、人目を気にせずくつろげる。

私とポンちゃんが気分転換によく使う店だ。

オープンエアのテーブル席から見上げると、秋の青い空がまぶしい。


「恋してるわね」


ポンちゃんは、テーブルに置かれたフルーツタルトを目の前に、イソイソと紙ナプキンで手を拭きながら、私を見つめて言った。

普段、スポーツブランドのジャージと、乾かしたままの髪で仕事場に向かっていた私が、いつしか、ブーツやミニスカート姿で出歩くようになっていた。

そんな私を、横でじいっと観察していたポンちゃんは、私の変化を鋭く察知したのだった。


ぶっ

ポンちゃんの言葉に、私は口に入れたガトーショコラの破片をのどに詰まらせて、激しくむせてしまった。

「ちょっと、かーや…あんたアイドルなんだから、
 食べたもの口から出さないでよぉ」

「だってポンちゃん、いきなりそんなこと言うし、
 その可愛いタルト、似合わなすぎだし」


ごまかしたつもりだったけど、耳から発火しそうに熱くなった。


「当たりみたいね。相手は五十嵐蒼でしょう」


すでに真っ赤になった顔にさらに、血が上った。