峯岸から連絡くるまではとても長く感じた。
ならは公園を出て、すぐ近くのカフェで時間を潰していた。

スマホが鳴る。
峯岸からの電話だ。
ならはすぐに電話に出た。

「今どこ?」
「今公園の向かいのカフェで涼んでた。」
「じゃあそこ行く。」

短く会話が終わる。

数分で、大和が店に入ってきた。
随分と汗をかいている。

「あっつ・・・」と笑いながら向かいの席に着く。

「何飲んでた?もうご飯食べた?」
「いや、アイスカフェラテだけ。」
「ご飯どうする?」

峯岸の「ご飯どうする?」が聞き慣れた響きでならの耳に入ってくる。

「ここでいいんじゃない?」

ならが答えると、「おっけー」と、それもまた聞き慣れた響きで峯岸が答えた。

懐かしいな、この感じ。

相変わらず、峯岸との時間は居心地がいいことにハッとする。

もうとっくに振られてるのに、なんでこんなに居心地がいいんだろう。
もう、戻れないのに。

「よく分かったね、うちのブース。」
「ああ、いや、ブラブラ歩いてたら偶然見つけたっていうか。」
「なるほどね、そっか。」

心なしかさっきからずっと峯岸と目が合わないような気がする。
別れた男女ってこんなものなのかな。

しばらく沈黙が続いた。
2人はそれぞれ自分の注文した物を黙々と食べる。

私は今日会いに来てどうするつもりだったんだっけ。
大和の口から一体何を聞きたかったんだっけ。
別れた理由・・・?