夕方4時になり、バイト終了の時刻になった。

初回の陶芸教室は和気あいあいとみんな楽しんでいたようで、ならも安堵した。

ひだまりを出ると、ちょうど峯岸がみんなの作品を車に乗せ終えたところだった。

「あ、バイト終わり?」

峯岸がならに気付く。

「うん。」
「じゃあ送るよ。」

峯岸がさらりと言う。

「まあ、猛もいるけど。大丈夫だよな?猛。」

後ろの席に座っている猛に聞くと、猛が「いいよ」と呟いた。

「いいって。俺、ちょっと菅原さんに挨拶してくから乗ってて。」

そう言って、峯岸は助手席のドアを開ける。

ずいぶんと気を許してくれているような気がする。

ならは少しどこか優越感を感じながら助手席に乗り込む。

猛はふてくされたように乗っている。

ならは、矢幡さんから聞いたアドバイス通り話しかけずにいた。

「おまたせー。じゃあ行くよー。」

峯岸は車に戻ってくるとすぐに発車させた。


「ならちゃん、今日この後用事ある?」
「いや、もう家に帰るだけ。」
「すごい申し訳ないんだけど、家にこいつら下ろして来ていい?」

峯岸は後ろの猛と、みんなが作った作品たちを指差す。

「ん?」
「デートしよ。」

・・・

「ちょっとお茶でも。」

爆発しそうになる頭で、ならはできるだけ冷静を保って答える。

「いいよ。」
「おっけー。じゃあちょっと家寄るね。」

車は峯岸宅に向かった。