稲荷と神の縁結び

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土曜日の午前七時。
私は朝食も取らずに、眠い目をこすりながら一心不乱にほうきを掃いている。
巫女の装束も勿論持ってはいるが、基本的に掃除をする時は作務衣姿。地味なエンジ色の作務衣だ。


もう今の季節は晩秋に入ろうとしているので、吹き抜ける風が冷たい。
それにこの季節は……何と言っても落ち葉の量が半端ではない。
一日一回の掃き掃除では埋もれてしまうほどなので、なるべく時間を作って掃除に宛てている。


「こはるちゃん!こっち終わったよー」
パンパンに詰まったごみ袋を持って、夕湖(ゆうこ)ちゃんが戻ってくる。

夕湖ちゃんは、兄・圭吾の奥さんだ。
二人は同級生で三十二歳。
実は夕湖ちゃんとは幼馴染でもあったので、私とも付き合いは長い。

「こっちも終わるよ。ゴミ一緒に持ってくから……」

「いや、残り私やるよ?
その代わり朝食お願いしていい?味噌汁温っためといて欲しいんだけど…」

「………うん、わかった。よろしく」

正直夕湖ちゃんは、『跡取りの嫁』としては百点…いや、二百点だろう。
進んで家のことをやり、同居でも何一つ嫌な顔をしない。

一応改築して二世帯住宅にはなっているが、ほぼうちの世帯でご飯を食べているし、家事もまとめてやっている。
それに………次世代の跡取りも産んだ。
男二人・女一人と子供を産み、我が家は安泰だと言われている。

夕湖ちゃんはここしばらく、乳児の末っ子の世話に追われていた。
しかし最近卒乳し『これからはバリバリやる』とやる気で、最近の朝の掃除は夕湖ちゃんが主に行っている。