稲荷と神の縁結び

この家が代々守ってきた『巴神社』は、それこそ歴史は古いものの、小さな…本当に小さな神社だ。
なぜか鳥居だけは立派であるが、小さな社務所には誰も居らず、駐在している神主も巫女もいない。
強いて言うなら、土日は父と兄の圭吾(けいご)が『週末神主』として業務を行っている程度。


当然ながら、この神社の経営だけで食べていけるはずはなく……いくらかの持っている土地を経営して、生活している。
ただその儲け分は全て、神社の修繕費に消えていく。なので豊かな暮らしとは程遠い。

神社の家に産まれたと言っても……ごく一般家庭と差は無かったように思う。それこそバレンタインやクリスマスだって行うし、誕生日にはみんなでケーキを囲む。

強いて言うならば…和装の着付けが手早くできるだとか、巫女の舞を踊れるだとか…………神社の業務‐それこそ年末年始や夏祭り はタダ働きさせられるとか、その程度の違いしかない。

今だって土日の境内の掃除は、私の当番になっている。その他諸々の手伝いも。
なので金曜日は早めに帰宅をして、たっぷりと眠らなければいけないのだ。