蒼の花と荒れる野獣Ⅱ



だけれど、それから10分しても20分が経っても。


仁と千夏ちゃんが帰ってくる様子はない。


30分もすればみんなが不安になって、自然と綾に指示を仰いだ。


「仁さん帰ってこないっすけど」


「たしかにジュースを買うだけにしては遅いよな。近くの自動販売機なんてこっから見えるぞ」


したっぱくんたちの騒ぐ声が自然と大きくなった頃。


「…綾、どうするの?」

綾を見ながら、ぼんやりと問いた。


「電話かけてみる」


「そうして」



綾が片耳に携帯電話をあてるが。


「出ねえ」


何分経っても、電話の向こう側から声は聞こえない。



「おかしい」


そう思ったのは綾だけじゃない。

仁は基本的には電話には必ず出てくれる。

常にポケットに入れて持ち歩いているし、電話出来ない時は必ずすぐに返信してくれる。

また後で連絡するでも、なんでも。


そんな仁だから連絡を入れないなんて有り得ないのだ。