「仲良くしているよ、千夏ちゃんとは」
感情を言ったって、彼に情報を漏らすことになるだけ。
ならばあたしのやることは、1つだと決まっていた。
それが “ 事実のみを伝えること ” だった。
事実の中に感情は混ざらない。
嘘はない。
感情を取り除けば、の話だが。
グレーゾーンを搔き消すように、あたしは笑った。
「千夏ちゃんがどうしたの?」
「…いやあ、お姫様が2人になるとややこしいじゃん。呼び名、何にしようかなあって」
「そんなの自分で考えれば済む話なのに」
だよねえ、と笑う南の笑顔は若干引きつっていた。
ねえ、あたしの予想を少しは外してほしいものだけど。
南は何か探っているの?



