「暗い顔するなよ。将来なんて、わかんねえだろ」
「そうね」
綾に笑いかけつつ、心の中では仁に僅かな不信感を抱いていた。
なぜ?
貴方達は、琢磨からことの一端を聞いているんじゃないの?
「和佳菜」
仁が真っ直ぐにあたしをみた。
「なに?」
「お前、それ…」
「わーかっなちゃん!」
後ろから抱きついてきた誰かのせいで身体が若干前に傾く。
うわっ、と思わず声も出た。
こんなことをする人をあたしは一人しか思いつかない。
「…どうしたの?千夏ちゃん、学校は?」
「んー?和佳菜ちゃんと遊びたいから休んできた!」
甘えた声出す彼女は、今日は一段と子供らしい。
幼稚園児みたいだ。
そのせいで仁からこの言葉は聞き逃したけれども。
「いいの?そんなことしても」
「いいんだよお。千夏ねえ、パパから何してもいいって言われてるの」
パパから?
「千夏ちゃんのパパってそういえば何してる人なの?」
「ん?どっかの社長だよ。あ、和佳菜ちゃんは?」
そんな時でも、彼女は隠すことを忘れない。
本当に感情で動かない人だ。
「あたしは分からないかな。ずっと離れて暮らしてるから」
「ママとかに聞かないの?」
「はぐらかされちゃうの。パパの話は嫌いみたい」



