「もともと休学しているならまだしも、あたしは退学しているのよ。行けるはずがないじゃない」
「俺の力で行くのも嫌がりそうだしな」
「俺の力じゃなくて綾のお父様の力だもの。もともとズルは大嫌いだけど、もっと嫌ね」
「って言うと思った」
綾のお父様が何をしているかなんて存じ上げないけども、誰かの助けを借りてまで学校に戻りたいなんて思えなかった。
綾ははあとため息をついてから、改めてあたしを見た。
「じゃ、お前どうすんだよ」
「どうするって」
「お前だって、いずれ一人で生きてかなきゃいけないだろ。最終学歴どうするんだよ」
「まさか綾、忘れたの?」
「はっ?って…あ、お前」
綾のはっとした表情と対照的に仁はまだまだ分からないという顔をする。
あれ、知っているんじゃないの?
「そうよ、あたしちゃんと大学を卒業はしてるの。最終学歴を不安に思うことはないわね。それに、私、もう普通には生きられないから。それは諦めたの。だからその時間までここにいる」
「その時間って?」
「…私の将来が決まる時」
きっともう、決まっているのだろうけど。



