蒼の花と荒れる野獣Ⅱ



「南が?」


彼は驚いたのか、目を丸くしている。


そんな演技にあたしは心底うんざりしてしまった。


南はと言うと。



僕のことを認めてくれたんだ、とか。


世界で一番尊敬しているお方だ、とか。


そんな戯言を吐いていた気もするけれど。


「惚けても無駄よ。貴方が窓口だって、聞いてる」


「へえ、南はそう言ってるんだ」


もう呆れた。


「あたしをそんなくだらない演技で欺けると思っているの?」


なめられたもんね。


駆け引きの元プロを。



嘲笑すると、痛い目に遭うよ…?



「…なんか怖いから、ジョークはこのくらいにしておくとして。そ、家族のことで悩んでたっぽいから、良いアドバイザーがいるって言って紹介した。それだけ」


それだけ、と彼は言うが。


要は南は悩みに漬け込まれたのだろう。


そう考えれば、南も随分と可哀想な男だ。




「俺も聞きたいことがあるんだけど」


「何?答えられることなら答えてあげるけど」


黒く、光った目が。


こちらに向いた。



「…あれのどこがいいの?」