「南が?」
彼は驚いたのか、目を丸くしている。
そんな演技にあたしは心底うんざりしてしまった。
南はと言うと。
僕のことを認めてくれたんだ、とか。
世界で一番尊敬しているお方だ、とか。
そんな戯言を吐いていた気もするけれど。
「惚けても無駄よ。貴方が窓口だって、聞いてる」
「へえ、南はそう言ってるんだ」
もう呆れた。
「あたしをそんなくだらない演技で欺けると思っているの?」
なめられたもんね。
駆け引きの元プロを。
嘲笑すると、痛い目に遭うよ…?
「…なんか怖いから、ジョークはこのくらいにしておくとして。そ、家族のことで悩んでたっぽいから、良いアドバイザーがいるって言って紹介した。それだけ」
それだけ、と彼は言うが。
要は南は悩みに漬け込まれたのだろう。
そう考えれば、南も随分と可哀想な男だ。
「俺も聞きたいことがあるんだけど」
「何?答えられることなら答えてあげるけど」
黒く、光った目が。
こちらに向いた。
「…あれのどこがいいの?」



