あたしはすっかり忘れていたのだ。
琢磨が調べ尽くしたルカの全てを見せてもらった時には書かれていたことだったし、なんならあたしは、それを昌さんから直接聞いていたのに。
話は大分前に遡る。
Julia(綾の彼女であり、マークの元にいた時の仲間。今は真田夢と名乗っている)との再会やマークからの電話で驚いてしまったせいか何かで、熱を出してしまった時。
昌さんから、緊急事態だよと電話をもらったのだ。
だけど、その時は全くもって緊急事態なんかではなかったお話だった。
『マークとの取り引き先にルカ・シェードっていたよね?』
『今、…その話すごく聞きたくないのだけど』
タイミングが悪いにも程があるのだ。
というか、ルカって人なんていたっけ?
『そのルカ・シェードって隠し子いたんだって!』
『はぁ…隠し子』
『え、反応薄くない?』
どうして40過ぎのおっさんが、そのどうでもいい、もうあたしには関係ない話をあたしにしてくるのだろう。
昌さん、興奮すると周りが見えなくなる癖あるからな。
なんか、頭痛くなかったはずなのに、痛くなってきた。
『…いや、別に。それだけ?』
それだけだったら、もう切りたいんだけど。
『いやいや、それだけじゃないんだよ!その隠し子っていうのがね、今獅獣と敵対してるBreakの総長なんだよ!』
『…え?』
いや、いきなりそこに繋がる?
世間って狭すぎない?
『な?すごいでしょ?彼、今一年の留学中なんだって。和佳菜は会ったことある?』
『あたしは…会ったことないけど。何故その人だって分かったの?』
『それは、俺の腕がよかったって…』
ぷつんと、停止した。
和佳菜よかったの?ってジュリアに聞かれた気がしたが、もうそれはよかったのだ。
Breakには、強烈なボスが存在する。
そのことがあたしにとっては衝撃だった。
それを琢磨があたしの幼少期の写真と混ぜていたルカの全てに記載されていたことで思い出したのだ。



