蒼の花と荒れる野獣Ⅱ










ドアの前に立って、こんなに緊張したことはない。


作戦が上手く機能するかも怪しい。


それでもやるしかない。


仲間が撃たれた今、あたしたちはこんなところで心が分散するわけにはいかないの。





「今からあたしは、…___________」




本当の貴方に逢いに行くね。



コンコン。


金属製のいい音が静かに響いた。


「どうぞ」


錆びれた部屋から、緊張感が伝わった。


「…お邪魔します」


そこには手当をしている慎太郎と、タブレットを操作する三郷の姿をがあった。


「あっ…和佳菜さん」


小声でそうあたしに目を向けた慎太郎は。


「大丈夫ですか?」


と何故かあたしの心配をした。


「何故?あたしじゃなくて翔の心配をした方がいいのでは?」


キョトンとしたあたしに慎太郎は苦笑いをして続けた。


「翔さんの心配はずっとしてます。でも、和佳菜さんだってあの翔さんに会うの、初めてなんじゃないですか?」


確かに。


翔がああいう風になっている姿を見たのは初めてだった。


だからこそ動揺したし、翔に感じたのは紛れもない恐怖だった。


「初めてだからこそ、彼に言えることだって沢山あるの」


慎太郎が慌てて目を見開いた。


「話し合うつもりですか?翔さんさっきようやく寝たんです。起こさないほうが…」


「じゃあ、起きるまで待ってるわ」


そうしたら横から三郷の声も飛んできた。


「和佳菜さんっ…!今回の翔さんは本当に正気じゃないんです。いくら和佳菜さんだからと言っても」


「仁から許可は取れているわ。それでもやっぱりだめ?」


「それは…」


困惑した顔ぶりからして、本当に危ないのだろう。


その時。


「…ん」


掠れた声にその場の誰もが耳を傾けた。