蒼の花と荒れる野獣Ⅱ



「悠人…」


「は?お前ら何悲惨な顔してんの?」


重苦しい空気に怪訝そうに眉を顰めた。



ああ、これは、チャンスだ。



「悲惨な顔って。表現が独特だよね、悠人って」


ふふと、笑う。


笑う。


こんな時だからこそ、笑うのだ。


「気軽に名前呼ぶなよ。…お前、名前なんだっけ?」


「あれだけ大阪の時間に関わってくれておいて、その惚け方はおかしいわよ」


後から、青山の人間捜しに一役買ったと聞いた。


彼と会うのは久しぶりだけれど、やはりいい人に代わりはない。


「ちぇ、なんだよ和佳菜。つまんねえやつ」


「悪かったわね、つまらなくて」


「で?なんでこんな風になってんだよ。てか、翔は?」


「翔は…」


そう言おうとして、あたしは口を閉じてしまった。


こんな事態を上手く説明出来る自信はなかった。


けれど、何か言わなくてはと思って、出てきた言葉はそれだけだ。


それに被せるように仁が。


「父親に会ってパニクってるから、救護室に運ばせた」


と声を張った。