「悠人…」
「は?お前ら何悲惨な顔してんの?」
重苦しい空気に怪訝そうに眉を顰めた。
ああ、これは、チャンスだ。
「悲惨な顔って。表現が独特だよね、悠人って」
ふふと、笑う。
笑う。
こんな時だからこそ、笑うのだ。
「気軽に名前呼ぶなよ。…お前、名前なんだっけ?」
「あれだけ大阪の時間に関わってくれておいて、その惚け方はおかしいわよ」
後から、青山の人間捜しに一役買ったと聞いた。
彼と会うのは久しぶりだけれど、やはりいい人に代わりはない。
「ちぇ、なんだよ和佳菜。つまんねえやつ」
「悪かったわね、つまらなくて」
「で?なんでこんな風になってんだよ。てか、翔は?」
「翔は…」
そう言おうとして、あたしは口を閉じてしまった。
こんな事態を上手く説明出来る自信はなかった。
けれど、何か言わなくてはと思って、出てきた言葉はそれだけだ。
それに被せるように仁が。
「父親に会ってパニクってるから、救護室に運ばせた」
と声を張った。



