人が、倒れている。
大きな血溜まりを作って、あちこちに散らばっている。
「みんなっ!!」
腹を抉られているひと、銃か何かで撃たれている人。
あの日みたいな悪夢が、甦る。
仁の横をすり抜けて、走り出した。
「和佳菜っ!」
「仁!佐久間さんのところに電話して!早く!」
出かける前まではみんな元気だった。
彼らの笑顔がよぎって、胸が痛みが走る。
どうして?どうしてこんなことに!
「みんな?大丈夫?」
その中で小さくあたしの名前を呼ぶ者がいた。
「…これは、…陽太?」
顔が血だらけで一瞬判断さえ出来なかった。
「…和佳菜、さん」
彼の右目は潰れていて、開かないようだった。
僅かに開いた左目でどうにかあたしを見ようとする。
「来ちゃ、駄目です…!あいつがっ!…っはぁ、はぁ」
「無理しないの!敵はいないわ。見てきたから、もう大丈夫」
「そう、です、か……」
ほっとした陽太が眠りそうになるから、慌てて抱き起こす。
「寝ちゃ駄目よ!いけないわ!起きていて!喋らなくていいから、いい?あとから話は聞くから」
腹からの出血だったから、巻いていたマフラーで止血する。
血で直ぐに染まってしまうマフラーを見ながら、それでも懸命に押し当てた。
「そのまま、動いてはいけないわよ。いいわね」
そう言って次の重傷者のところに向かう。
みんな出血が多いけれど、陽太ほどではない。
なんとか止血し、次の人はと見上げた時。
血が、降ってきた。



