蒼の花と荒れる野獣Ⅱ




人が、倒れている。


大きな血溜まりを作って、あちこちに散らばっている。


「みんなっ!!」


腹を抉られているひと、銃か何かで撃たれている人。


あの日みたいな悪夢が、甦る。


仁の横をすり抜けて、走り出した。


「和佳菜っ!」


「仁!佐久間さんのところに電話して!早く!」


出かける前まではみんな元気だった。


彼らの笑顔がよぎって、胸が痛みが走る。


どうして?どうしてこんなことに!


「みんな?大丈夫?」


その中で小さくあたしの名前を呼ぶ者がいた。


「…これは、…陽太?」


顔が血だらけで一瞬判断さえ出来なかった。


「…和佳菜、さん」


彼の右目は潰れていて、開かないようだった。


僅かに開いた左目でどうにかあたしを見ようとする。


「来ちゃ、駄目です…!あいつがっ!…っはぁ、はぁ」


「無理しないの!敵はいないわ。見てきたから、もう大丈夫」


「そう、です、か……」


ほっとした陽太が眠りそうになるから、慌てて抱き起こす。


「寝ちゃ駄目よ!いけないわ!起きていて!喋らなくていいから、いい?あとから話は聞くから」


腹からの出血だったから、巻いていたマフラーで止血する。


血で直ぐに染まってしまうマフラーを見ながら、それでも懸命に押し当てた。


「そのまま、動いてはいけないわよ。いいわね」


そう言って次の重傷者のところに向かう。


みんな出血が多いけれど、陽太ほどではない。


なんとか止血し、次の人はと見上げた時。



血が、降ってきた。