蒼の花と荒れる野獣Ⅱ



「名前なんて知らない。興味も持ちたくはない。その女のひとに触れるなら、あたしのことはなかったことにして」


面倒な女だと、自分でも笑えてしまうほど。


だけど仁は目を瞬かせて。


「…和佳菜。お前、それって、…嫉妬…」


「そ、そんなわけないじゃない!」


「慌ててるのが丸見えだ」


くすくす笑われて、頬が赤くなる。


「ちょっと!」


勝手に話を進めないで。


「違うからね!」


そう言っても、仁は素知らぬ顔。


「本当に!」


「…分かった、分かったから。な?純夏は、俺の従姉妹なんだよ」


「え、いと、こ?」


あれが、従姉妹の雰囲気なの?


あたし達従兄弟が仲良くないので、一般的な従兄弟の距離が分からない。


だけど、すごく距離が近かったような。


「なんなら、結婚してるし。旦那さんと一緒に紹介しようか?熱々過ぎて吐き気がするけど」


「で、でも!そういうホテルに…」


そうよ、ただの従姉妹だと思っているとあんなところには行かないはずよ。


だけど仁は余裕そうに笑って。


「ん?あー、あいつラブホの店長してんの。俺らはそっち系も運営してて。将来的には運営を任せようって、親父達は思ってんの。そん頃は新店ができて、そっちの方を任せようって話になってたから、何度か視察に同行させられたの。多分その時」


「…嘘」


「ほんと。あいつ引っ付くの大好きだから、勝手に腕にくっついてただけだろうし。旦那さんもそこらへんはもう諦めてんの」



嘘ひとつないよ、ってあたしの顔をじっと見つめながら。


仁は優しくそういった。




「俺は1年前からお前以外見えてないっての」