「名前なんて知らない。興味も持ちたくはない。その女のひとに触れるなら、あたしのことはなかったことにして」
面倒な女だと、自分でも笑えてしまうほど。
だけど仁は目を瞬かせて。
「…和佳菜。お前、それって、…嫉妬…」
「そ、そんなわけないじゃない!」
「慌ててるのが丸見えだ」
くすくす笑われて、頬が赤くなる。
「ちょっと!」
勝手に話を進めないで。
「違うからね!」
そう言っても、仁は素知らぬ顔。
「本当に!」
「…分かった、分かったから。な?純夏は、俺の従姉妹なんだよ」
「え、いと、こ?」
あれが、従姉妹の雰囲気なの?
あたし達従兄弟が仲良くないので、一般的な従兄弟の距離が分からない。
だけど、すごく距離が近かったような。
「なんなら、結婚してるし。旦那さんと一緒に紹介しようか?熱々過ぎて吐き気がするけど」
「で、でも!そういうホテルに…」
そうよ、ただの従姉妹だと思っているとあんなところには行かないはずよ。
だけど仁は余裕そうに笑って。
「ん?あー、あいつラブホの店長してんの。俺らはそっち系も運営してて。将来的には運営を任せようって、親父達は思ってんの。そん頃は新店ができて、そっちの方を任せようって話になってたから、何度か視察に同行させられたの。多分その時」
「…嘘」
「ほんと。あいつ引っ付くの大好きだから、勝手に腕にくっついてただけだろうし。旦那さんもそこらへんはもう諦めてんの」
嘘ひとつないよ、ってあたしの顔をじっと見つめながら。
仁は優しくそういった。
「俺は1年前からお前以外見えてないっての」



