仁の暖かさに、自分の命がここにあることを改めて知った。
「自分を犠牲にして、何かをしようとしないでくれ」
その苦しげな声にあたしは謝るしかなかった。
「…ごめんなさい」
「だめ」
「え、そんなことを言われても」
「だめ。和佳菜はまた同じことする」
「そんな。しないわよ?あたしだって学ぶのだから」
「和佳菜には前科がある」
「前科?」
さぞ重大な罪のように仁がいう。
「一年くらい前に、志田の野郎に追い回されただろ?お前、自らぶつかりに行ったじゃねえか」
「え、あれ前科なの?」
怒られた気が全くしないのだけど。
「前科に決まってんじゃん。あの時マジで心臓止まるかと思った」
ああ、もう終わらせようと思った時だ。
あの時、あの人の声が聞こえたの。
お前がやれって、そういったの。
あたしはその通りに動いて…。
そうしたらこの人に悲しい顔をさせてしまったのね。
「ごめんね」
あたしが大切にしたい人は1人しかいないの。
それはマーク、貴方ではない。
「ほんと、変わんないな。あの頃と」
「それは良い意味?」
「よくない意味」
「嬉しくないわね」
「もうしない、とか。そんな安っぽい言葉はいらねえから。…だから、」
彼は息を吸って。
吐いて。
「俺の彼女になって、ずっと離れんな」
そう言った。



