[…マーク様が伝えられなかった思いを伝えることがわたくしの最後の義務です]
ぽつり、とそう。
セブさんが呟いた言葉にあたしは立ち止まった。
[最後の義務?]
貴方、まさか。
聞き返した言葉にセブさんはゆっくり頷いた。
[今月いっぱいでここを去ることにしました]
これはデイビッドも聞いていなかったようで、何事かと目を見開いている。
[…マークがいないから?]
はい、と穏やかな笑みを浮かべて続ける。
[わたくしが仕えていたのはマーク様です。他の方を主人にすることはできません]
その目は真っ直ぐで、誰も止められないことをあたし達に理解させる。
[…決めたのね]
[はい]
[もう、揺るがないみたいね]
[はい、…ですから____________________]
セブさんの笑顔は誰よりも儚い。
[最後のお願いを、聞いてはいただけないでしょうか?]



