とりあえず、こちらに。
そう言われて、中庭のテラス席に腰をかけた。
[…何かあったの?]
[マーク様はあの日、和佳菜様を置いて日本を発たれたました]
[そうね]
どの日のことを言っているかは理解した。
マークの裏切りに遭った時のことだ。
[だけどあれにはきちんと理由があります]
[またマークがあたしを大事にしていたって話?もう充分聞いたわ]
あの人への弔いは今、さっき終わったのだ。
まだ心傷は痛むけれど、無視をしなければやってなどいけない。
[ですが、大切な…]
[これ以上傷つけて、あたしをどうしたいの?]
あの日、あの時。
確かに傷を負ったのだ。
[あたしはもう恨んでもいない。憎んでもいない。それでいいじゃない。これ以上何を望むの?]
そう言って、席を立った。
終わったのに、終わりを迎えたのに。
傷を釘で弄るような、貴方の行為は残酷だ。



