そっと振り返ると、出口が見えた。
帰ろう、帰って早く。
貴方に会いたい。
そんな時。
出口の脇に小さく黒い何かが見えた。
その正体は。
「これって…」
[お待たせしてごめんなさい、終わったわ…って。なんでふたりとも泣いているの?]
チャックを開けて中から顔を出せば、号泣している瑞樹とデイビッドの姿があった。
[いや、和佳菜が…っ。大人になったなあつて思ってね]
[なに、親みたいに感慨深くなってるの]
[わたくしも、瑞樹の涙をみたら]
[ええ?貰い泣き?デイビッド、そんなに涙腺緩かったの?]
[昔はそうでもなかったのですが…っ。なんか、最近っ、は。酷くて]
目を擦っているふたりはあまり見ないから、なんだか不思議でしょうがない。
[泣いているところ悪いけど、瑞樹、携帯電話持ってる?]
[お前、…ほんと、そういうとこ容赦ないよね]
[ごめんね、寄り添ってあげられるほど余裕があるわけじゃないの]
“あれ”が誰かに消されてしまう前に。
あたしはあれを大切にする義務がある。
これはマークからの最期のメッセージなんだから。



