[え、別にそういう意味は無いんですけど。ただ、和佳菜様をマーク様が1番大切にしていらしたので、お願いしたいと思っていただけで]
キョトンとした彼の様子からすればそれは嘘では無いようだ。
[なら、よかった。別に貴方を疑いたいわけではないの。ただ、ほら、こういう世界でしょう?押しが強いと、疑わざるおえなくて]
[それなら、すみません。…ええと、sugarでしたっけ?ご案内させていただきます]
こちらです、と言って歩き出したデイビッドに続いてあたしたちも続いた。
[こんなところにあったなんて]
大きな中庭はかなり奥まったところにあったらしい。
[ええ、外から見えないように配慮されているんです]
そういえばそんなことをマークが言っていた気がする。
記憶が消えかけていることを実感してしまって寂しくなった。
そしてそれは、今も綺麗な白さを保って、そこに存在し続けていた。
[…今も変わらずにあるのね]
[和佳菜様がいつ戻ってきても大丈夫なように、マーク様が定期的にsugarの掃除や白い布の洗濯をさせていましたよ]
テントのように広げられたsugar-あたしたちの特別な部屋-はそこにいる。
出入口はチャックになっていて、会員証や番号は必要ないけど。
けれど確かにあたし達以外に誰も入ってはいけない暗黙の了解が存在していた。



