仁はそれを見て、はあとため息をつく。
「変な演技すんなよ。ひとまず1人にはしないから」
「…だから、帰るって」
「関西になんか思い出でもあるのか?」
綾のけげんそうな顔になんとも言えずに笑った。
…ええ、あるわよ、思い出したくもない嫌な記憶が。
「会いたくない人がいるの」
「…別に会わなくていいんじゃねえか?」
「そういうわけにもいかないの」
ここにしばらくいるときたらきっと会ってしまうだろう、嫌ってほどに。
「失礼します、お茶を…」
ああ、もう。
これだから嫌だったのに。
「…和佳菜」
お茶を持って来たのは。
「照史
あたしが大嫌いな従弟の照史だった。



