あたしがこちらに渡りたいと願った時、やはりママは反対した。
それは当然だった。
あたしに危険が及ばない為に、日本からあたしを遠ざけたのだから。
あたしがまたこちらに来てはその意味がわからなくなってしまう。
それでもと願うあたしにママはとても悩んでくれて。
そして出した決断だった。
ママは仁に絶大な信頼を寄せている。
なぜかはよくわからないし、ママにも分からなくていいと言われたから、気にしないことにするけれど。
あたしを1人にしない、ということが目的のひとつだったことは確かである。
あたしがもし、仁と獅獣のみんなと仲直りが出来なければ、ママが決めたホテルに泊まって、ママが決めた飛行機に乗って、イギリスへ帰る。
出来たならばキャンセルすれば良いと、ママはそう言って何でもない顔をした。
そしてもう一つの約束は、仁にママとの約束を話さないということだった。
仁にその話をしたらのなら、何が何でもここに住まわせるはずだ。
彼はママの言葉に忠実であるから。
そのせいで、仲違いを生ませる原因になってはいけないとママは語った。
『大切なのはみんなの気持ちよ』
それを壊してはいけないとも。
だから、敢えて黙るという選択になった。
もし破れば、あたしが再びイギリスに行くという約束で。



