蒼の花と荒れる野獣Ⅱ



「仁?」


「和佳菜は千夏のこと守ろうとするし、千夏もまた然りだし。なんだよ、お前ら。相思相愛かよ。俺も混ぜろよ」


「なに、言っているの?」


貴方はなんだか不敵に笑っていて。


どうしてこの状況で余裕のある顔ができるの?


「やっぱり二人の前で決めることにして良かった」


「…どういうこと?」


「二人で話そうとしたんだがな。上手く進まんくてなあ。やけん、もうこっちで決めようと、そういうこと」


葏忢さんは、笑う。


余裕が漂うその顔から、ああ、仁が追い詰められているのだ、そう感じ取った。


「仁は二つの選択を迫られとる。お前らふたりを青山の下で働かせる代わりに、仁は銀深会にいるか。お前らを自由にする代わりに、仁がうちに来るか」


いちいちわかりやすいのにまたイラつく。


千夏ちゃんはこれを知って、せめて自分だけでもと思ったのだろうな。



「…覚悟は決めたか?」


「決めました」


「じゃあ」




「最初に言っておきます。俺は青山に行くつもりはありません」


「なら」



「でも俺はやっぱり2人も救う」








片方しか選ぶことが出来ないとしても。



貴方は両方を選ぶって言うのね。


叶うって、どんなに信じられなくても。


貴方が放った言葉なら。


あたしは信じていられるの、不思議ね。







「…無謀やな。言ったやろ?お前が選べるんは、ひとつだけやって」


「聞いてません。聞いてたとしても、そんなのあり得ない」



「…交渉決裂や」




それはまるで戦いを挑むかのよう。



「手加減すなよ」



戦いの火蓋は静かに切られた。