蒼の花と荒れる野獣Ⅱ



「俺だ」


そう呟いた綾が電話を片手に話をし始める。


「…っは?」


そう言ってから、携帯電話で何やらゴニョゴニョと話し込み始めた。


電話の相手は知らないが、あたしにはそれが気にするより、やることが沢山ある。


「じゃあ、志田。これから帰る?」


「え、帰らせてくれんの?なら、帰るわ」


「そうねえ。銀深会の関西支部に行ってみたいわ。連れて行ってくれる?」


「何言ってんだよ。無理に決まってるだろ。よそもん連れて行くわけにはいかないっつーの」


「そう。残念。なら、代わりにひとつ、教えて欲しいことがあるの」


「な、なんだよ」


「一年前、あたしと仁を追い回したあの銀のバイク。あれ、どうやって手に入れた?」


「…っ、お、覚えてねえよ!」


明らかに怯える志田にもう笑うしかない。


「嘘つき。その青ざめた顔で言わないでくらる?」


「…あ、あれは!お前とやり合うなら、これを使えって、真田さんが!」


「本当?」


「嘘言わねえよ!ただ!」


「ただ?」


「あの時の真田さん、目がイっちゃってて怖かったから…それだけだよ!」


真田…か。


あったことはないけども、その感じだとあたしに良い感情を抱いていないようだ。


「その真田は今どこに?」


「解散するまえに卒業してったから、わかんね。南さんとかの方が知ってるんじゃねえの?」


「南と喋るより貴方の方がずっと楽」


「おい、楽でえらぶなよ」



「和佳菜」



硬い声に呼ばれて振り返ると。


「どうしたの?真剣な顔をして」


「急ぐぞ」


あたしの手を引いて歩きだす。


歩幅は広く、ついて行くのに精一杯。


「な、何を言っているの?どうしたの?」


「…いそげ」


「だから、何が」




「仁が千夏と青山に来てる」