「追われる側になったらわかるかしら?結構怖いのよ」
「十分分かったって」
「じゃあもう二度とあんな風に追わないでね」
そういうと、さて戻らなきゃと思った。
これからすることは…。
「和佳菜さん!あの、こいつは…」
戸惑った様子の陽太がそう声をかけたので。
「あたしから聞くことは無くなったわ。みんなから聞くことが無ければ帰してもいいけど」
そう言えば、陽太達の顔がぐっと暗くなる。
「じゃ、やっぱりこいつは」
「目当ての人では、無かったわ。まあ、うちと繋がりがあるっていう意味では良かったわ。ありがとうね、探してくれて」
にっこり微笑む。
「じゃあ、また再開して…」
そう音頭を取ろうとした陽太に首を振った。
「彼に時間を取っている間にもう遠くまで行ったか、青山の支部に行ってると思う。呼んだって出てこないと思うわ」
「え、じゃあ」
そんなに焦らなくても大丈夫なのに。
だってこれは貴方には関係ないでしょう、陽太。
「諦めも肝心よ」
別に責めてなんかいない。
それでもガバッと頭を下げた彼は。
「すみません…!俺らが頼りなかったから…」
「そうじゃないわ。こいつが捕まったことは今後に於いてかなり有利に働いたことは間違えない。確かな手柄よ」
「それでも!」
「それにね、みんながいてくれて精神的にも助かった。あたしがこうしてみんなに冷静に指示を通すことができるのは、みんなが関西まで来てくれたからよ。側にいてくれてありがとう」
「和佳菜さん…」
例え、見つからなかったとしても、それだけは確かなことなのだ。
きっと佐々木さんが言ったスペシャルゲストの意味は、そういう意味だったと思う。
ここで、あたしがしっかり気を持たなくて、誰がしっかりする?
あたしの精神的な安定を求めるなら、綾を呼べばいいということなのだろうか。
そりゃ、綾との再会はあたしにとっていいことばかりだけど。
やっぱりあたしは…。
…ピルルルル。
誰かの着信音が夜の大阪に響いた。



