感情型の志田が思いつきでここまで言えるはずがない。
「…そう。ちなみにひとりで?」
「悪いか?」
「いいえ。ただ、一人旅は貴方があまり好まないように思えるのだけど」
「ひとりはひとりだよ!いいから早く返せよ!」
「貴方があたし達に捕まったその表情は怒りよりも焦りが大きいのね。どうして?」
「…しっ知らねえよ!てめえが勝手にそう思ってるだけだろ!」
「じゃあ正解を言ってあげる」
ふふと、笑ってあげる。
「青山のことは本当に知らなさそう。その意味ではハズレね」
「だから!知らねえって」
「でも」
「あたし達に言えないこと、まだありそう。ねえ、ちゃんと言わないと、京都にも行かさせないし、家にも帰れないわ」
________さあ、どうする?
「もとから帰す気なんてねえだろ」
ガクン、と項垂れたのは、志田の方だった。
「はは、あたり。で、どう?これで貴方は言う、以外に選択肢がなくなったわけだけど」
「……左の、胸ポケット」
「え?」
「そこにお前が知りたがってるものが入ってるよ」
手を後ろで手錠で縛られている椎田には、それができないので。
仕方なく、左の胸ポケットを漁る。
いや、漁るまでもなく、コツン、と何か硬いものに触れた。
ゆっくりと引っ張り出すと…。
「たったこれだけ?」
あたしの手元には黒く光る拳銃が一丁。
「は?俺はこれを貰いにきたんだよ。玉無くなったんでな」
「…どこから?」
彼は素直に組の名を告げたが、銀深会の関西支部らしかった。
仲間うちでは意味がない。
「どうして逃げたの?」
「そりゃ、お前らがあいつだ!とか言って追いだしたら逃げるに決まってるだろ」
…気持ちが少し分かるから、言い返せなくて悔しい。



