蒼の花と荒れる野獣Ⅱ



佐々木さんは大きく目を見開いて。



「和佳菜様はお優しいのですね」



刃物のような鋭い笑みを浮かべた。



「……え」


「ですが、“ どんなことがあっても ”なんて台詞は、容易に口にしてはいけませんよ」


なにを間違えたのか、ようやく分かった。


佐々木さんにとって、


“ どんなことがあっても ”


その言葉は信じられない言葉なのだ、と。


あたしは今どうしようもなく禁句を言ってしまったのだ、と。


「佐々木さん、すみませんでした」


「いえ」


ああ、こちらを見ないのがもどかしい。


「だけど、佐々木さん」


貴方が知っているのかはよくわからないけど。


「あたしは決して佐々木さんを裏切ったりしませんよ」


“ どんなことがあっても ” 信じられる人なんて、いないなんてもしかしたら思っているのかもしれないけれども。





あるのよ、無償の愛は。



ほら、意外と近くに、ね?





「…どこからそんな自信が出てくるんですか」


ためいきついている、呆れているのかもしれない。


「だって佐々木さんだし。裏切りを恐がる貴方があたしを裏切るはずがないでしょう?」


それに…。



「そもそも、人を信用することに理由は必要ありますか?」